文化庁の調査で「煮詰まる」という慣用句について、「議論が行き詰まり結論が出せない状態になること」と逆の意味に思い込んでいる人が40%近く居ることが分かった、と新聞に載っていた。逆の意味にとっている人の世代間の開きが大きく、50歳以上は30%で16~19歳では84%だそうである。
昔は家庭でよく豆を煮たものである。ことこと煮ていると余分な水分が無くなって旨い煮豆が出来上がる。そんな状況を目の当たりにしていれば「煮詰まる」という状況を経験しているので意味を間違えることは無い。
料理は生活する上で一番重要な行為であり、そのうち「煮る」という行為が基本である。しかし、じっくり時間をかけて煮るというのは、時間の無駄だと考え、出来上がったものを買ってきて並べるだけの人が増えており、「煮詰まる」状況を見たことの無い人には、「煮詰まる」とはどういうことか、分からないのは当然といえば当然である。
「詰まる」という言葉から「行き詰る」に結び付けてしまうのである。
効率を最優先にしてきた戦後の教育、だけでなく全ての生活態度がこのような結果を招いている。無駄を無くした結果、日本の文化も無くしてしまった。
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